昭和の鉄道模型をつくる(最終回)
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第35巻は瓦葺で板壁二階建ての長屋だ。時代劇などでよく見られる長屋というと木造平屋建てであるが、一棟の中に複数の住居が壁を共有し、個別の出入り口を有する建物を総称して長屋という。今回の建物は2階建て三軒長屋で、いわゆるメゾネットタイプ。因みに上下階も他世帯に別れているタイプの住宅をアパートとかマンションと呼ぶようだ。
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今回のパーツ。外壁4枚と屋根、床板。それに建物正面に置く植木鉢、縁台、よしず、だけ。組み立て製作時間僅か10分で完成。
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今回で建物は全て揃って、そろそろ完成間近となってきた。次回からは道路パーツ、踏み切り、架線、樹木や自動車、人間など細かいパーツとなる。
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第32巻、理髪店だ。「理髪店」「理容室」「バーバー」「ヘアーサロン」などさまざまな呼び名があるが、私は「床屋」という呼び名が一番しっくり来る。明治生まれの私の親父は「髪床」とよく言っていた。床屋は美容院と違って、カット、シャンプー、髭剃り、頭や肩のマッサージがセットになっているのが標準である。サービスのよい床屋はさらに耳垢取りもしてくれる。最近はカットのみで、掃除機で吸い取って終わりという店もある。
赤、青、白のトリコロールカラーのサインポールは、西洋では外科医が兼業していたことから、動脈、静脈、包帯の色を表しているのだそうだ。
古典落語「浮世床」のように、ご近所の旦那衆が集まることで、色々な情報が集まる場所でもあった。
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建物はあと木造平屋住宅、洋館付和風住宅、長屋の三つを残すのみとなった。
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第26巻は銭湯だ。今では内風呂が普及して銭湯の数も少なくなってしまったが、昭和30年代にはこのような銭湯があり、住民の憩いの場であった。私が子供の頃は内風呂が無かったので、家族揃って銭湯によく行ったものだ。湯屋にいくと必ずといっていいほど近所の知り合いに逢ったものだ。まさに「裸のお付き合い」が出来たよき時代だった。
当時の銭湯は「宮型造り」という建築様式で、当時はよく見かけた銭湯のスタイルである。今では銭湯の数も減ってしまってほとんど見かけなくしまったが、天井が高く天窓から自然換気で湯気がこもらないようになっている。また、天井勾配をとってあるので、結露水が横に流れて、風呂場に雫が落ちないように設計されている。
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玄関の暖簾をくぐると左右に男湯、女湯に別れて下駄箱がある。入り口を入ると写真のような番台があってそこで入浴料をはらう。広い板の間が脱衣場になっていて、男湯と女湯の仕切りの壁に大きな鏡があった。その横に牛乳やジュースを冷やしたケースがあり、風呂上りに牛乳をよく飲んだ。
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浴槽の壁にはペンキ絵で富士山が描かれていた。なぜか銭湯の壁画は富士山の絵が多かった。なぜだろう。浴槽は二つに分かれていて、小さい浴槽が、深くて熱く、大きい浴槽が浅くてぬるかった。銭湯には三助といって背中を流したり、垢すりをしてくれるサービスもあった。
たしか大学生の頃だったと記憶しているが、「時間ですよ」というお風呂屋さんファミリーのテレビドラマがあった。ボイラーマンの堺正章、風呂屋の女将さんの森光子、その息子の松山英太郎、嫁の松原智恵子、などが出演していて毎回女湯を一瞬写すのが評判だったのか、高視聴率の番組だった。当時爆発的人気アイドル歌手だった天地真理も隣のマリちゃんという役で出演していた。
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毎晩毎晩、夜が更けると、近所の湯屋の
水汲む音がきこえます。
流された残り湯が湯気となって立ち、
昔ながらの真黒い武蔵野の夜です。
おっとり霧も立ちこめて
その上に月が明るみます、
と、犬の遠吠がします。
(以下略)
この詩は中原中也の「更くる夜」という詩で「湯屋」の情景を詠っている。「湯屋」という語感がなんとも心地よい。「銭湯」「風呂屋」では詩にならない。因みに江戸では「湯屋(ゆうや)」上方では「風呂屋」と呼ぶことが多いようだ。私は「湯屋」という響きが粋で好きだ。
冬の夜、湯屋の前を通ると窓から白い湯気が立ちこめていて、中から湯をかける音や、木桶の響く音が聞こえてくる。そんな情景が浮かんでくる詩だ。今ではそのような光景を目にすることも無くなってしまって寂しい想いがする。
30年位前のことであるが、私が所属していた男声合唱団「東京オルフェオン」が、多田武彦氏に作曲委嘱したところ、中也の冬に纏わる詩5編を選んで「冬の日の記憶」という組曲を書いていただき、初演した。その中の一曲に「更くる夜」が入っている。
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話が鉄道模型から逸れてしまったが、今回のパーツ。今回も細かいパーツがほとんどなく、組み立ては楽だった。
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外壁を組み合わせ土台に差し込んだところ。正面左側には鹿(しし)おどし、右側は灯篭。
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裏側のボイラー室。高い煙突の横に薪が置いてあるが、昔の銭湯は薪焚きのボイラーを使っていたので煙突が高かった。
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第24巻は「劇場」だ。私が小学生の頃の昭和30年代、映画は庶民の娯楽ではトップだった気がする。昔は駅裏には写真のような三本立ての映画館がたくさんあり、よく母親に連れられて観にいったものだ。「ゴジラ」やチャップリンの映画も当時は人気の映画だった。映画館には手書きの大きな看板が掛っていたのも懐かしい光景である。映画館はいつも超満員でドアから溢れんばかりの立ち見客で賑わっていて、映画を見るのも大変な時代だった。当時は客席の後ろの映写室で映写機を回していて、フィルムを送る音が客席まで聞こえていたり、映写機の光に館内の埃が白く映し出されていた。よくフィルムが外れて巻きなおしの間、映画が中断されることがあった。休憩時間には紐の付いた箱を首にかけた売り子が「おせんにキャラメルアイスクリームはいかがですか」と客席を廻っていたことを覚えている。
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チケット売り場のまわりは白いタイル張りの壁、二階はモルタル吹き付けの壁で黒く汚れたところやひびの入ったところもリアルに表現されている。
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